新任小隊長の独り言

現役消防士、新任小隊長の日々を独り言的につづります。

車上での梯子伸梯

お疲れ様です、leoです。

 

先日、庁舎の欠陥修繕のため外壁の工事をすることになり、庁舎&訓練塔に足場が組まれたので訓練できなくなりました…

 

しかも来年2月までかかるとか…

 

うーん、これは頭を使わなければ。

 

ということで、庁舎周りも訓練塔も使えないので、車両の上を使って訓練することにしました。

 

突然ですが、皆さんは車の上で梯子を伸ばしたことはありますか?

 

救助隊ならあるかもしれませんが、消防隊ではなかなかないかもですね。

 

でもこれ、消防隊の方が必須じゃないかと思ったり。

 

なぜかというのは、また後ほど。

 

今回は車上伸梯について書いていきます(^^)

 

【目次】

 

【なぜ車上で?】

 

そもそも、なぜ車上で梯子を伸ばす必要があるのか?

 

ということで、まずはいろいろな物の"高さ"と"長さ"について考えてみます。

 

まずは僕たちが使う三連梯子。

 

うちでは関東梯子さんのものを使っているので、全縮梯の状態で3.5m、全伸梯で8.7mです。

 

さて、次は車の車高。

 

車検証に載っているので確認しましょう。

 

ちなみにウチは3mジャストでした。

 

車の種類によっても違うので、もう一度確認してみてください(^^)

 

そして最後に建物の高さ。

 

簡単に算出するために、それぞれの建物のワンフロアの高さを知っておく必要がありますね。

 

あくまでも一般的に、といったところですが、ワンフロア約3mと言われています。(床面から天井までですね。)

 

5階建てのマンションだったら、5×3で約15mくらいかなって計算できます。

 

そしてこの3つの長さ&高さが重要になります。

 

例えば5階建ての共同住宅、4階部分からの出火。ベランダに手振りの要救助者が…という想定で考えてみます。

 

単純に考えると、建物の高さは約15mで、出火室までは約10〜12mと推測できます。

 

この時点で、三連梯子を全伸梯しても対応できません。

 

もし現場だったら、玄関側からアプローチしたり梯子車の到着を待ったり、単梯子(カギ付梯子)を使ったりするかもしれません。

 

でも残念ながら、ウチの車には単梯子は積んでいないし、梯子車の到着もタイムラグがある状況…

 

玄関側からアプローチするにも、資機材を持って4階まで駆け上がり、エンジンカッターでドアを破壊し、進入するまでにはそれなりの時間がかかることが予想されます。

 

となると、ほんの数mの高さをカバーするために、

 

車上で梯子伸ばしちゃえばいいじゃん。

 

と、なっても良いかと思います。

 

火災は常に進行しています。

 

1分どころか、本当に1秒も無駄にはできません。

 

要救助者のために少しでも早い方法を選択できた方が良いと、僕は思います(^^)

 

 

【やってみよう】

 

ということで、ぜひやってみてください!

 

やり方は簡単。

 

車の上で梯子を起梯して、伸梯するだけ。

 

地上でやるのと何も変わりません。

 

変わることといえば、

 

活動スペース。

 

これ、結構ネックになります。

 

操作する人、確保する人、安全管理する人、それぞれの立ち位置や目線が地上とは全く異なります。

 

高くなるだけ、狭くなるだけで全然違いますよ!

 

これは実際に試して体感してください(^^)

 

言葉ではなく、実際にやってわかることです。

 

そして、操作上のポイントを端的にまとめます。

 

〜ポイント〜

①梯子の向き、位置を変える時は要注意

②架梯が一番危ないかも

③石突部分はルーフのフチに当てる

④確保の方法を検討する

⑤必要最低限のメンバーで実施する

 

僕たちが署内でやって共有したポイントです。

 

やってみれば、なぜこれがポイントなのかわかるはず。

 

気になった方は、ぜひトライしてみてくださいね(^^)!

 

 

【まとめ】

 

今回は車上での梯子伸梯について書いてみました。

 

参考になりましたかね…(・・?)

 

いろいろと書きましたが、正直この方法は現実的なものではないことが、何となく分かったと思います。

 

が!

 

やったことないからできないとか、

知らないからできないとか、

現実的じゃないからやらないとか

 

こんなの言語道断です。

 

やったことないならやればいいし、

知らないなら調べればいい、

現実的じゃなくても1%でも可能性があるのならやるべきです。

 

だって僕らプロですから。

 

こんな訓練でも、知っている、やったことがあるだけで助かる命があるかもしれません。

 

人命救助は常に全力。

 

ある人からの受け売りですが、消防士として忘れずにいなきゃです!!

 

それではまた。

 

最後までありがとうございました!