お疲れ様です、leoです。
気づけば今年もあとわずか…
ブログを放置して4ヶ月…
忙しかったですね(T-T)
というのも、今流行りの「警防技術大会」の本部内選抜大会に参加することになったり、火消しなのに潜水士の研修を受けに行ったりと、割とバタバタとしていた訳で…
まさに"激動の数ヶ月"を過ごしておりました故、ブログを全く書く気にならず…気づけばこんな間隔が開いてしまいました。
しかしながらこの数ヶ月、非常に濃い時間を過ごしました。
特に、潜水士の研修は濃かった!!
勉強や実技もさる事ながら、研修後の課外(飲み歩き)も濃かった…!!!
ということで、今回は研修時のことを、備忘録的に書いていきます。
消防士と潜水士、なかなか似つかない業種ではありますが、本当に多くのことが消防にもリンクしていると、僕は思いました。
僕自身の戒めだけでなく、皆さんの"考え方"にも一石を投じられればと思います。
それでは今回も最後までよろしくお願いします(^^)
【日本サバイバルトレーニングセンター】
題名の「NSTC」とは、Nippon Survival Training Centerの頭文字です。
なぜ「Japan」でないのか、謎ですよね…。
という冗談はさておき!
8月の終わり、僕は神奈川県横須賀市にあるNSTCの研修所で5日間の研修を受けてきました。
この場所は元々「海洋研究開発機構(JAMSTEC)」が研修を開催いたそうですが、過去にあった事業仕分けとやらで、現在はNSTCが研修を引き継ぎ、一時的に場所を借りて研修を行っているとのことでした。
NSTCの本拠地は福岡県北九州市で、潜水士の研修は北九州市と横須賀市の二ヶ所で行われています。
そのため、全国各地の水難救助に携わる方々が参加する研修となっています。
そして今回、僕が派遣してもらった研修は、潜水士基礎コース。
北は福島県、南は沖縄県から参加している方もいて、もちろん消防だけでなく県警の方も数名参加していました。
まさに全国区!!
こういった研修の醍醐味は、技術や知識を身につけられることはもちろんですが、全国に仲間が作れることも素晴らしいことですよね(^^)!!
そして講師陣も素晴らしい方達でした。
みんな教え方めちゃくちゃ上手い人達でした!!
やはり消防の世界だけでなく、外に出てこそ見える世界は必ずあります。
今回も改めて痛感してきました。
やっぱり面白い!!
外の世界が全てではないですが、消防という狭い世界だけを見てては勿体ないなぁ、と思うところです。
さて、早速脱線しました(´∀`; )
研修は午前中に座学、午後から実技といった流れで一日が過ぎて行きます。
座学は主に全国各地の事故事例を基にした内容で、これがまたスゴく勉強になり、そして色々な発見がありました。
水難救助に関する事故事例をたくさん聞くことができ、さらにそこに教授の考察を付加してお話しいただきました。
座学を受けての正直な感想は、潜水って簡単に死ぬな。怖いな。です。
なんたって事故事例が多い…。
しかも死に直結しすぎていますからね…。
潜る前から、しっかりビビらせてもらいました。笑
でも!
この恐怖感が何よりも大事だとも思いました。
人間、同じことを繰り返していくと、必ず「慣れ」が出てきます。
慣れは良い面もあれば悪い面もあって、技術的なことだけでなく、心理的な部分でも影響します。
皆さんも「慣れによるミス」を経験したことがあるはずです。
僕は横着な人間なので、慣れてくると横着しちゃいます。笑
(でもそれを知ってるからこそ、しっかり気を引き締めてます!!)
少し脱線しましたが、ここからは僕自身の考えです。
直感的に"怖い"と思うことは、自身の身を守るための「安全管理の第一歩」だと思っています。
その"怖い"と思うことが、慣れで薄れてきてしまったら…
なんとなく想像できますね。
そしてまた逆に、その怖さを味方にすることで闘える現場もあり、安全管理だけでは闘えない現場もあります。
それを体現しているのが僕のお師匠さんな訳で…
そりゃもう安全管理とか無縁のところにいる人なのですが(悪口ではない。笑)、自身の経験から得た知見をフル活用して、怖さの上に自身の安全を乗せている人だと、僕は思っています。
つまり何が言いたいかというと、
慣れすぎるな、気を張れ
ということですかね。
そして自分がどこまで攻められるかを知るということかなとも思うところです。
さてさて、水難からは脱線していますが、こんな感じで日々新しい発見や、改めて気付かされることが非常に多くありました。
その中でも1つ、みなさんにもぜひ考えていただきたいなと思う事案を書いていきます。
【とある事案…】
全体的に脚色しているので、やんわり伝わればと思います!
国内のとある場所、自殺で有名な岬での事案。
その日は天候が悪く、海は大しけで大波が岬に打ち付けられるような状況だったそうです。
そんな日に限って「自殺志願者が岬から飛び込んだ模様」との通報。
消防に水難救助の出動要請がありました。
現場は荒れ狂う海。とてもではありませんが、救助隊が入水し潜水活動ができるような状況ではありませんでした。
しかし、現場の岬には遺留品が残されており、飛び込んだのは間違いありません。
この岬は自殺の名所だったため、現地の水難隊は何度も出動し活動を行い、何度も同じ場所で訓練をこなしていたそうです。
そして何より、つい数日前にも同じ現場で救出できている実績があったとのこと。
天候や海の状況は違えど、現地の救助隊は「救助できる」と考えたそうです。
そして彼らは海へ入り、救助活動を行うことを決断し、実行。結果は…
要救助者を発見し確保するも、隊員1名が沖へ流され、かろうじで沖合の岩礁に掴まっている状況。
この後この隊員は、悪天候の中なんとか飛んだ消防ヘリにより無事救出され、事なきを得たとのことでしたが、一歩間違えれば大変なことになっていたことがわかるかと思います。
さてこの事案、皆さんはどう考えますか?
【リスクを天秤にかけろ】
かなり脚色はしましたが、この事案の元の話をお話しいただいた時、先生がおっしゃった言葉です。
「現場で活動するときは、リスクを天秤にかけろ。消防士はヒーローじゃない。生身の人間なんだぞ。」
潜水活動での事故を多く見てきたからこそ言える、先生の言葉です。
余り僕らの職場では言われないような言葉ですが、まさに安全管理の根本的な部分ですよね。
では具体的に「リスクを天秤にかける」とはどんなことか。
きっと賛否両論あると思いますし、何より消防の本分を見失ってると言われかねないと思いますが、書きます。
しっかり書くので、本質を見逃さないで欲しいです。
先ほどの事案ですが、要救助者は"自殺志願者"でした。
それも荒れ狂う海へ飛び込むほど、その思いが強い人です。
それだけ強い思いで自らの命を絶とうとしている人を、こちらの身の危険を顧みず、命を賭して救助に向かうべきなのか?
救助できたとして、果たしてその人は救われて、助かって幸せなのか?また自殺しようとするのではないか?
講義で僕らはこう問われました。
正直、僕はそこまでして救うべき人ではないと思ってしまいました。
もちろん何もしないという訳ではありません。
無理な環境下での潜水活動をするのではなく、他の方法を選択すべきではないかと。
救助できる可能性はグンと減ることになりますが、隊員が事故にあう可能性もグンと減ることになります。
これが先生の言う「リスクを天秤にかけろ」です。
消防の現場でも同じです。
火災現場であれば、要救助者がいる現場とそうでない現場
救急現場であれば、明らかに急性期で状態の悪い患者さんとそうでない患者さん
多少のリスクを負ってでも闘うべき場面と、そうではない場面というのを、言葉には出さずとも、少しは皆さんも経験があるはずです。
経験があるのなら、この「リスクを天秤にかける」は、必ず後輩達に伝え教えなければならないと、僕は強く思っています。
安全の第一歩は、正しくリスク評価することです。
怖がることも大事。だけど正しく怖さを理解すれば、それを回避する方法が必ずあります。
そしてその方法を使った上でリスクを天秤にかけ、ベストに近い活動ができれば良いのではないでしょうか(^^)?
こんな感じで、潜水士の研修のはずなのに、潜水じゃない部分で得ることが多くて多くて!!笑
そして余りにも事故事例や先生の現場談を聞きすぎたせいで、潜水士試験の勉強が大変だったのはまた別の話…笑
【実技訓練&夜のフィードバック】
午後からの実技訓練は、水深5mのプールでスノーケルやスクーバの潜水基礎技術を勉強させてもらいました。
僕はまだまだ養成中の身だったので、改めてポイントやコツを教わることができ、これもまた非常に勉強になりました。
その中でも特に、素潜りインターバルが本当にキツかった…。
普通に空気を吸えることが、どれだけ素晴らしいことか…!!
あの研修以降、家の風呂でコツコツ息止め練習していますが、設定された目標の2分は、めちゃ長で難しいです。
ちなみに、みなさんはどのくらい息止めできますか??
「これ、火事現場で"もしも"の時の息止めにも役立つな」
なんて事を考えたのですが、やはり真っ先にお師匠さんの顔が浮かんでしまいましたね…。(決して悪口ではないです。笑)
それにしても!僕以外の研修生のみんなは、泳ぎも潜りもうまかったです(^^)
特に県警の方々、やはり日頃から潜っている方達なので、若いのに現場経験も半端なかった…!!
丸一日の研修もあっという間に終わり(実技の内容薄くてすみません!笑)、横須賀の街で夜のフィードバックが始まります。
これがまた濃かった。
なんせ、みんな消防に熱い。気持ちいいくらいに熱い。
久しぶりに気分が高まる環境でした。
潜水士の研修といえど、みんな心は火消し。
お酒片手に、みんなそれぞれの所属の火消しの話をしてくれました。
同い年で高度救助をやってる熱いヤツもいれば、僕と一回り以上も離れてる若さなのに、ものすごく勉強熱心な子もいて、もう良い刺激受けまくりでした。
お酒のパワーも相まって、熱いトーク全開でしたね(^^)
この出会いこそ、こういった研修の醍醐味であり、何にも変えられない消防人生の糧となるんだと、強く感じました。
あとこれは本当何も関係ないことですが、関西弁は悪口が悪口に聞こえないという発見もしました!!笑
5日間という短い期間でしたが、めちゃくちゃ濃い時間を過ごすことができましたね(^^)
そしてあんなに連日飲んでいたのは人生初の経験でした…(嫁さんには死んでも言わない。笑)
【まとめ】
こんな身も蓋もない内容のブログに最後までお付き合いありがとうございました(^-^;
僕個人として、水難救助隊をもっと知って欲しいし、とんでもなく危険な活動をしていることを知って欲しいです。
でも悲しいかな、やっぱりなってみないとわからないことの方がたくさんですね。
まさに僕もそうだったように。
でも、消防という仕事の性質は、どの部隊であっても全く同じです。
少なくとも僕はそう思いました。
根本は「困っている誰かのために危険を冒す」ってことです。
僕ら消防士の大元は人命救助。
そこには必ず危険が潜んでいるもの。
それは消防隊だろうと救急隊だろうと救助隊だろうとも、みんな同じ。
だから、服の色の違いで見てる方向が違うなんてバカらしい。
みんな同じ方を見ていれば、誰かがその危険に気付くし、予防するための準備できる。
でもそのためには「知ること」が大事。
知らなきゃ気付けませんからね(^^)
だからこうしてNSTCの研修について書いてみました!(一部くだらない内容含んでましたが…)
かなり無理矢理感出てますが、これが今回のまとめでございます!
相も変わらずなかなかの脱線気味でしたが、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
寒くなってきたので、みなさん体調管理には十分注意していきましょう!
それではまた(^^)
追記
この記事を書いている途中、新潟県柏崎市消防で水難救助隊の事故がありました。
研修を受けてきた身として、とても他人事とは思えず胸が痛みます。
こうした事故を防ぐために、起こさないために、どう行動すべきなのか、何が危険で安全なのか、もう一度考えることが何よりも大切だと思います。
亡くなった隊員の方の命を守る無駄にせず、僕らがしっかり学ぶことが重要です。
僕もまた一段と気を引き締めます。1つでも事故を減らせるように。