新任小隊長の独り言

現役消防士、新任小隊長の日々を独り言的につづります。

三連梯子取り扱い訓練

お疲れ様です、leoです。

 

先日、初キャンプに行ってまいりました!

 

テントを買ってから1年。

 

自宅の庭で幾度となくテントを広げて練習を重ね、迎えた当日は…

 

 

どうやら雨男か雨女がウチにはいるようです。(たぶん僕です…)

 

とはいえ、子ども達は大はしゃぎでした。

 

なんと言っても焚き火が良かったですね(^^)

 

小雨だったのですが、なんとか無理矢理やってみたら、これまた割とよく燃えてくれました。

 

火を見てると落ち着く、あの感覚は何でですかね。

 

普段は対峙してるものも、丁寧に扱えば心を癒やしてくれるものです。

 

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さて、今回は三連梯子の取り扱いについて、ものすごく基礎の部分を振り返っていきます。

 

小隊長として、根拠を示した指導が必要ですからね。

 

なぜ?を示すことが、正しい知識と技術を学ぶためには必要であると、僕は思っています。

 

ということで、知っている人もそうでない人も、改めて三連梯子について確認しましょう!

 

それでは、今回も良ければ最後までお付き合いください(^^)

 

 

 

 

【改めて三連梯子】

 

さて、改めて三連梯子です。

 

諸元性能については、ここで書くのはナンセンスなので、各所属に配備された梯子の諸元プレートを見たり、説明書を見たりしてください。

 

何事もまずは自分のところのものを確認しましょう(^^)!

 

ところでみなさん、架梯角はなぜ75度なのかご存知ですか?

 

これ、知ってるようでキチンと説明できない人多いんです。

 

でも1番質問されやすいですよね。

 

説明書には「梯子は75度になるように架梯してください。」ぐらいしか書いてません。

 

これじゃ答えにはなってませんね。

 

先輩方から教わることと言えば、

「基底部が75度になるように角度つけてあるから」とか

「荷重バランスが〜」とか。

 

んー、これもまた曖昧っちゃ曖昧ですね。

 

実際ネットで調べてみると、安全に使用できる角度が75度と決まっているから75度なんです、ってな書き方が多いですね。

 

とはいえ、それを答えにしたら「75度だから75度」と言っているようなもん…。

 

ではleoの答えはと言うと…

 

横さんを掴んで真っ直ぐ腕を伸ばしたとき、身体が地面と垂直になる角度が75度。

つまり作業しやすい姿勢になる角度ということ。

これは人間工学に基づいて設計された角度。

 

という感じです。

 

つらつらと書きましたが、言葉じゃ分かりづらいので、後ほど図にしたものを貼っておきますね(^^;

 

そして、実はこの角度、何も三連梯子に限ったことではありません。

 

梯子と名の付くものは、角度75度の決まりがあります。

 

さらに言うなら、普段使うような脚立も75度の角度になっています。

 

もちろん不安定な足場に対応するようなものもあるので、絶対に75度とは言い切れませんが、世の中にある"梯子"のほとんどの架梯角は75度と言えるでしょう。

 

時間があれば、ぜひ調べてみてください(^^)けっこう面白いこと書いてありますよ!

 

ではでは、そこで新たな疑問です。

 

梯子の架梯角が浅かったらどうなるのでしょうか?

 

逆に深かったらどうなるのでしょう?

 

みなさんパッと答えられますか?

 

これはぜひ実践していただきたい。

 

なぜか?

 

これ、危険予知に繋がります。

 

角度が浅い時と深い時では、抱く不安や怖さが全くの別物になります。

 

実際にやる場合のため、簡単に答えを書きます。

 

(浅い時)

梯子の先端が滑る、めちゃくちゃタワむ、下が見えるから怖いetc...

 

(深い時)

梯子下部での確保ができない、登梯者側に倒れる危険大、登梯者が落ちそうetc...

 

両方ともに危険性が増しますし、怖さも増します。

 

もしやるのであれば、ぜひ全伸梯で建物の壁面に架けてみてください。

 

いつも使ってる梯子なのに、けっこう恐怖感でます。

 

ということで、まとめた図が下のとおり。

 

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なんとなく伝わりますかね?

 

もちろん僕の主観も含まれますので、間違いや付け足しがあればご教授いただけると助かります!

 

そして!

 

これに付随してやってみていただきたいのが、

 

全伸梯で建物の壁面に架けるのと、ベランダなどの柵に架けた時の違いを感じることです。

 

僕たちがよくやる三連梯子を使った操法では、ベランダの柵に架梯することはあると思いますが、壁面に架けることは少ないと思います。

 

でもよく考えてください。

 

そんな都合よくベランダに要救助者いますかね?進入はベランダだけじゃないですよね?

 

…ね、そうですよね。

 

だから壁面に架ける練習もしましょう。

 

梯子はいろいろな場所に架梯するだけでも、ものすごく訓練になります。

 

ありえないことが、ありえてしまうのが消防です。

 

ぜひぜひトライしてみてください(^^)

 

さてさて、まだまだ伝えたいことあるので続けます!笑

 

みなさん、一般住宅の2階の窓から進入するための訓練していますか?

 

なんだい、梯子架けりゃOKでしょ!

 

と思ったあなた、ぜひやってみてください!

 

どこにどのように架ければ良いか。

 

まずは頭の中で想像してください。

 

そしてその想像を空装備(防火装備せず)でトライしてみてください。

 

最後にフル着装(呼吸器も!)でやってみてください。

 

さて、結果はどうでしょうか…?

 

ぜひぜひ実際にやってみてください(^^)!

 

なぜ必要かは、少し考えればわかりますね。

 

余談ではありますが、僕ら消防の訓練で「ベランダから火煙噴出」って、よくある想定じゃないですか?

 

そしたらベランダから進入できないので、窓から進入することも十分考えられますよね。

 

はい、だから窓から進入するための梯子架梯もしっかりやりましょう!

 

これ、やるのとやらないのでは歴然の差が出るどころか、人を救えるか救えないかに関わってきます!!

 

必ずトライして欲しいところです。

 

僕の署でも、こんな感じで本当に基本的な梯子の取り扱い訓練をしました。

 

そしたら今年度から一緒になった後輩から一言…

 

「leoさん、初任科じゃ習わないことばかりですね!」

 

そうなんですよ、後輩くん。

 

消防学校の初任科では、あくまでも使えるようになるための基礎訓練を行うんです。

 

さらに言うなら、みんな同じようにできるようにするための訓練です。

 

消防学校として、消防士の基礎を作るという役割を果たすため、至極真っ当なことですね。

 

そして、ムラなく伝えるために操法に則って訓練するわけです。

 

消防学校で教えないから悪い訳でもなく、操法が時代遅れという訳でもないことがわかると思います。

 

それを踏まえた上で、僕が後輩達を指導し訓練を行う上で、1つ大切にしている言葉があります。

 

それは、現場で使うための基礎力です。

 

学校を卒業して各所属に配属され、

 

「訓練と現場は違うぞ!現場は訓練の応用だ!」

 

なんてよく言われますが、僕はちょっと違うかなと。

 

だって僕らが活動する場面は、常に現場ですから。

 

つまり、基本は現場なんです。現場は応用じゃありません。

 

だから大事なのは、現場で使うための基礎力。

 

操法的な基本訓練ではなく、常に現場を基本とした訓練をすべきだと、僕は思っています。

 

とはいえ、これまた言葉の綾かもしれませんが…(^_^;)

 

また脱線気味なので修正します。笑

 

ここからは少し師匠の受け売りです。

 

訓練をやる上で、とても大事な決め事として

 

「必ず最後までやり遂げる」

 

ことを伝えています。

 

失敗して止まってしまっても、体力的にキツくてダメになりそうでも、必ず最後までやり遂げさせます。

 

これはなぜか。

 

まず1つ目の理由は、自身の活動限界を知るためです。

 

どこまでならできるのか。

 

自分の体力や技術力の限界を知らなければ、限界を超えて無理をしてケガをする、最悪の場合は死んでしまう…なんてこともあり得ます。

 

だからこそ、訓練で自身の限界を知ることが大切だと、僕は思っています。

 

続けて2つ目の理由は、途中でやめるクセをつけさせないためです。

 

これ、めちゃくちゃ大事なことです。

 

例えば放水訓練で、何らかのアクシデントで水が出なかった時、仕切り直しで「初めからやるか!」なんてなってませんか?

 

これ、聞こえは良いようですが、現場では仕切り直しなんてできませんよね?

 

そこなんです。

 

水が出なかったのなら、その対処をして最後まで訓練することで、トラブルシューティングの訓練にもなるんです。

 

どんな訓練でもそうです。

 

仕切り直すのではなく、どんな形でも必ずゴールまで到達させる。

 

そして失敗したところをフィードバックして、繰り返し訓練をする。

 

何度も書きます。

 

必ず完結するようクセをつけてください。

 

仕切り直しするクセがつくと、現場でも動きが止まりますよ!

 

だから、何が何でも最後までやりましょう。

 

昔からよく言われますよね。

 

現場だと思え!

 

そういうことです(^^)

 

…今回は長めです。笑

 

最後に教え方について。

 

みなさん、ノウハウという言葉はご存知ですか?

 

よく「ノウハウを叩き込む!」なんて使われ方しますよね。

 

実はこの「ノウハウ」は造語のようで、英語で表記できます。それが下のとおり。

 

know-how

 

日本語に直すと"やり方を知っている"ってなところです。

 

少し前までは、このノウハウが教え方の主流でした。

 

いかに効率よく効果的に仕事を教え、使えるようになるか…

 

やり方を教えるのが1番速いですね(^^)!

 

めちゃくちゃ合理的な考え方だと思います。

 

これに対し、最近ではこんな言葉があります。

 

know-why

 

ノウホワイ、と読むそうです。

 

日本語に直すと"なぜ?を知っている"です。

 

鋭い人はお気づきかと…

 

冒頭で書いた「なぜ?を教えることが大切」に繋がります。

 

実はこの考え、第22回全国救助シンポジウムの中で、中西教授が発表された演目でも紹介されました。

(詳しくは「自律支援的な教育・訓練で消防救助の"現場力"を高める」を読んでください!)

 

ただただやり方をレクチャーするのではなく、なぜやるのか、なぜこの方法なのか等々、その意味を理解させることが、自学へ繋がると。

 

だから根拠立てた訓練が大切なんですね(^^)

 

これからはノウハウではなく、ノウホワイです。

 

そのためには、まずは自分から、足元見直して固めていかなければなりません。

 

なぜ?を理解すること、大変ですが、絶対に必要なことですよ(^^)!!

 

 

 

【まとめ】

 

今回は久しぶりに長かった気がします。笑

 

そして書いている最中に梅雨明け宣言、そして連日の酷暑となっています。

 

コロナも落ち着いたかと思いきや、またぶり返してるようですし…

 

みなさん、コロナだけでなく熱中症にも十分気をつけましょう。

 

僕たちは健康であって初めて役に立つことができる仕事です。

 

まずは何より、しっかり健康管理です!!

 

…脱線!

 

ということで、改めて梯子について書きましたが、どうでしたでしょうか?

 

こればかりは実際に試して体感してほしいところですね(^^)

 

そしてやる以上は、しっかりとした根拠を示せるように。

 

小隊長として、上司として。

 

教える側こそ日々勉強です!

 

にしても本当に暑い日が続いています。

 

みなさん、お互い身体に気をつけて勤務にあたりましょうね(^^)

 

やっぱりうまくまとまりませんが…

 

今回も最後までありがとうございました(^^)!

 

 

 

 

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(面倒ですがコピペしてください!)

 

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