お疲れ様です、leoです(^^)
緊急事態宣言も解除され、だんだんと新型コロナも落ち着いてきましたが…気を緩めずにいきましょう!
さて、今回は僕たち消防士になくてはならない、防火服について書いていきます。
そういえば、防火服についてって教わらないですよね…。
ということで、知ってる人も知らなかった人も、改めて防火服について考えてみましょう(^^)
今回も最後までお付き合いよろしくお願いします!
【目次】
【防火服とは】
いつもどおり、そもそものお話です。
が、Googleにも出てきませんでしたので僕の言葉で…
【防火服とは】
防火服とは、火災の時に消防士が着ていく服のこと。救助現場などにも着ていくことがある。
主に炎や熱から身を守るための服で、耐炎、耐熱、耐切創、耐化学薬品、耐水性、耐電等、ものすごいスペックの防火装備。
これぞ消防士!の服。
こんな感じですかね(^^)
きっとこの防火服に憧れて消防士を目指した人、目指す人も多いはずです。
この防火服、様々なメーカーが防火服を作っていて、消防本部ごとに様々なデザインがあります。
つまり消防本部ごとのフルオーダーメイド防火服ってことです。
色や形だけでなく、ポケットの数や配置、所属名を入れる場所、反射材の色まで全部オリジナルです。
(もちろん似ているのはありますが)
ちなみに僕の所属は、小林防火服のブラックテックを使用しています!
みなさんの所属はどこのメーカーでしょうか?
気が向いたら調べてみてくださいね(^^)
【防火服の性能】
さて、次は防火服の性能についてです。
これに関しては、各メーカーで若干スペックの違いがあるので、あくまでも基準的な話になりますが…
平成29年に改定された「消防隊員用個人防火装備に係るガイドライン」を参考に進めていきます(^^)
①耐炎・耐熱性能
防火服に最も求められる機能ですね。
この機能がなくては活動できません!
ではみなさん、防火服の耐熱限界温度は何度か知っていますか?
様々な見解があるようですが、1つの基準として…
防火服の性能試験では、80kw/㎡の熱量で火炎暴露実験を行います。
この数値を温度に換算すると、
約1,000℃だそうです。
(詳しい計算はよくわからないので、気になった人は調べてみてください!)
ということは、僕たちの使う防火服の耐熱限界は約1,000℃と言えるでしょう。
仮に1,000℃を超えたとしても、燃えずに炭化する繊維で作られている為、着ている消防士の熱傷を防ぐことができます。
※ちなみに1,000℃というと、火災室は火の海どころか、たぶんフラッシュオーバーも発生しているくらいの温度です。スゴい機能ですよね!
②撥水機能
防火服には、炎や熱から身を守るだけでなく水濡れにも強いという特性があります。
なぜか?
それは消火活動で放水した際に、水がかかってびしょびしょになるとヤル気が…じゃなくて、活動に支障が出るからです。
服が水を含んでしまうと、当然その服は重くなってしまいます。
そして水に濡れっぱなしだと、着ている人の体温を奪っていきます。
もう冬の火災なんて濡れたくありません。笑
僕たち消防士が活動する上で必要な水は、濡れると逆に足手まといになるわけです。
ということで、防火服には水濡れにも対応できるよう撥水機能が付いています。
しかも撥水するだけでなく、防火服の中の汗を外へ逃がす透湿防水機能もついています。
簡単に言うと、GORE-TEXのことですね!
各メーカーによって透湿防水フィルムの素材は違うようですが、僕の所属で使用している小林防火服のブラックテックには、GORE-TEXが搭載されています。
これがあるのとないのでは快適性が全然違います。
山登りする人はよくわかると思いますが、やっぱりGORE-TEXはスゴいです!!
まぁ、その分お値段もスゴいのですが…笑
③耐切創機能
火事現場にはどんなものが散乱しているかわかりません。
木材、ガラス、瓦、金属片、クギ…
これら全てが活動する上で危険なものです。
特にガラスや金属片など、ちょっと触れただけでスパッと切れちゃいます。
危ないですよね(;´д`)
なので、防火服には耐切創機能(切れにくい機能ってことです。)があります。
上記のような様々な鋭利なものから身を守る為、ケブラーやアラミドなど、切れにくく強靭な特殊繊維を使用しています。
防火服だけではなく、防火手袋や耐切創手袋にも使用されていますね。
また最近では、自然災害が多発し、隊に関わらず多方面への出動が多くなっていることから、消防隊、救急隊、救助隊の各活動服にもケブラーやアラミドが織り込まれているところもあるようです。
地震の時なんかは重宝しそうですよね!
少し脱線しましたが…
あくまでも耐切創であり、防刃ではないということにも注意していただきたいですね。
④耐化学薬品、耐静電、耐滑、耐油…
上記3つの他にも、様々な危険因子から身を守るためのいろいろな機能満載です。
気になる方は、この機会にぜひ調べてみてください!
(決して書くのが面倒になったわけではありません。)
このように身を守るための防火服には、様々な機能があるのに加え、活動上の快適性能も大幅に向上しています。
ガイドラインが改正されたためか、各消防本部でも様々な工夫を凝らした防火服の開発が進んでいます。
Jレスキューにもたくさん掲載されているので、ぜひ一度見てみてはいかがでしょうか(^^)?
【防火服の耐用年数】
ここまでは性能について書いてきましたが、この耐用年数も気になるところですよね。
Googleで防火服と検索すると、予測ワードめ割と上位に表示されたりされなかったり。
が!
調べてもハッキリしたのは出てきませんね(・Д・)!
ということで、僕が総務課で被服や貸与品を担当してたときに、当時出入りしていた業者さんに聞いた内容を書きます。
予算折衝の都合&僕の興味本位で聞いただけなので、決してメーカーの公式見解ではありません。
一つ参考程度の知識としてみてください(^^)
ということで、なぜ耐用年数が明示されていないのかというと…
使用状況や頻度によって大幅に異なるため、一様に耐用年数は明示できないから
とのことです。
特に防火服は、火災という特殊な環境下での使用が想定されているため、はっきりとした耐用年数は示せないんだそうです。
家電みたいに、使う環境や頻度の予測がつくものとは別物ですからね。
だから防火服を扱うどのメーカーのHPにも耐用年数は載っていないかと思います。(leo調べ)
じゃあ耐用年数なしでいいの?って話ですが、そこもちゃんと聞きました。
その業者さんの答えは…
各消防本部さんの予算のつく時期(笑)
だそうです(・ω・)
(笑)も含めてなので、そのニュアンスを受け取ってもらえると助かります。笑
ちなみに、その担当者の方は全国を飛び回る敏腕営業マンだったので、全国的な平均使用年数を聞いてみたら、
ほとんどの消防本部は10年を目安に更新していると言っていました。
高い買い物なので、おおよそ10年くらい使わないと予算が取れないのが現状みたいですね。
ちなみに僕の所属も10年目安で更新です。
できれば7〜8年のスパンで更新できればと交渉したのですが…財政厳しいですからねぇ…( ´Д`)y━・~~
ちょっと脱線しましたが、
メーカーからは明示されていないものの、防火服の耐用年数はおおよそ10年と言えるのかな?と、僕は思います。
もちろん、内部規程等々で定めているところもあることかとは思いますし、メーカーの公式見解ではないこともあるので、そうとも言い切れません。
ので!!
あくまでもオフレコのお話として、参考になればと思います(^^)
【防火服の余談】
さて、ここからは防火服にまつわる余談です。
先ほども登場した全国を飛び回る敏腕営業マンの担当者と話した、ちょーオフレコの話の話もあります。
面白い話もあるので、良ければ見てください…(^^)
①お値段
みなさん、防火服の値段って知っていますか?
貸与されたから何となく使っているかもしれませんが、防火服は超高級品です。
防火服の上から下まで全部あわせると、なんと…
約30万円!
(具体的な数字出すのはヤバそうなので、ざっくりのお値段です。)
それを一人ひとりに貸与してくれてるわけですから、大事に大事に使わなくてはなりません。
適当に扱って「壊れました」とか、本当ふざけんなって話です。
防火服だけではなく、僕たち消防士が使っている身の回りのものは全て税金で賄われています。
モノの金額を知ることは、ケチみたいに思われるかもしれませんが、
価値を知ることで大切に扱う気持ちも芽生えるはずです。
せっかくなので防火服だけではなく、他の資機材の金額も調べてみてくださいね(^^)
②防火服の下に何着る?問題
これはまたちょーオフレコの話です。
これに関しては賛否両論間違いなしです。
一意見として見ていただけると助かりますが、どうしても!!という意見等ありましたら遠慮なくご連絡ください(^^;
さて、表題の件ですが…
みなさんの所属では、どのような取り決めがありますか?
僕の所属では、残念ながら明確な取り決めはなく、その時の上司によるのが現状です。
もちろん、取り決めがなくても防火服の下は活動服絶対でしょ!となりますよね。
総務省消防庁においても、正しい着装の仕方が掲載されています。
(参考)https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/items/230506_syo66_04.pdf
僕もこれが正しいと思います。
火災から自分の身を守るためですからね(^^)
が!
ぶっちゃけ現状どうでしょう?
防火服の下、活動服脱いでませんか?
ごめんなさい、偉そうなこと書いといて僕は防火服の下はTシャツです…
なんたって、これからの時期は暑くて耐えられないですもん…
そう、ここがミソです。
ここ数年の夏場の暑さは異常ですよね。
最近では災害級の暑さなんて表現される日もあったりします。
何が言いたいかというと、
ヒートストレス対策も重要だということ。
火災の炎や熱から身を守ることは何より大事なことですが、
夏の暑さから身を守ることも大事なことです。
ということで、これも気になったので例の敏腕営業マンさんに聞いてみたところ…
- 以前の防火服は、活動服と組み合わせることで防火&耐火性能の補完をしていた。
- ここ数年で開発されている防火服は、以前のものと比べて格段に性能が良くなっているため、以前のように"防火服の下に活動服を絶対着なきゃいけない"というスペックではない。
- 「ポリエステルのTシャツだと火災の熱で溶けてヤケドする」と言われているが、その時点でそんなこと気にしてる状況下ではないと考えられる。
- 燃え盛る炎の中に屋内進入するのであれば、防火服の下に活動服を着てTシャツは難燃素材のものを着るべきだが、そのような状況は限りなく少ないと思われる。
- それよか夏の暑さに対するヒートストレス対策を急ぐべきだと、個人的には思っている。
- 夏の暑さに限らず、高温の火災室でもヒートストレスが発生するので、やっぱりヒートストレス対策は急務だろうと思う。
- 個人的には防火服のスペックを理解したうえで、ヒートストレス対策優先で防火服の下は速乾TシャツでOKだと思う。
長くなりましたが、これがオフレコトークでございます。
あくまでも私見、オフレコの内容ですが、割となるほど!と思えませんか?
これからの季節、必ず話題になることかと思います。
その時に選択肢の一つ、考え方の一つとして見てもらえればと思います。
何回も書きますが、
あくまでも私見、オフレコのお話です。
くれぐれも取り扱いには注意してもらいたい内容ですので、その辺のご理解をお願いします(^^)!
【まとめ】
いかがでしたか?
改めて防火服について書いてみました。
一番身近な装備ですが、わりと知らないこともあったかと思います。
今一度、自分の装備を見直すキッカケになると嬉しいです(^^)
また、暑くなる季節を迎えるにあたって、一つの考えを提案しました。
僕個人的な考えですが、
教えることは選択肢を増やしてあげること
でもあると思います。
これはこうだからこう!ではなくて、困った時に色々選べるようにしてあげられると良いかな、と(^^)
色々考えて、どうしてそうなのか、know-howではなくknow-whyをやってあげるようにしたいですね!
最後の最後でちょっと脱線気味ですが、また一つ考えるキッカケになれば嬉しいです!
明日から6月、暑さに負けず頑張っていきましょう(^^)!
今回も最後までありがとうございました!
☆火災性状のテキスト配布中☆
最近ご連絡いただくことが一段と増えてきました!
場所は違えど、同じ志を持つ消防士のみなさんがいると思うと嬉しい限りです(^^)!
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PDFデータをお送りさせていただきます(^^)
yamama.leo.1227@gmail.com
※お手数ですが、リンク切れなのでコピペしてください(^^;)